口腔外科
歯科臨床のインシデントレポート ピットフォール
|
|
|
|
カテゴリ
|
2008年06月04日(Wed)▲ページの先頭へ
小帯の位置異常について
小帯の位置異常は欠損補綴を行う場合からみても しばしば臨床上の障害となることがある
下顎臼歯部欠損を床義歯あるいはブリッジにて補綴する際に大臼歯頬側歯肉に頬小帯が高い位置にあると床義歯の辺縁が接触しやすくなり 疼痛や褥瘡性潰瘍を生じる またブリッジにおいても頬小帯が高い位置にあると食物の流れを妨げることになり 不潔域を広げ 歯周炎や二次カリエスを引き起こしやすくなる 上唇小帯の短小による付着位置の高位は新生児期における母乳吸綴運動の妨げとなったり 混合歯列期において歯間離開などの歯列不正を引き起こすことは知られているが 上顎前歯のクラウンやブリッジに歯冠補綴の際にも歯間乳頭の退縮によって審美性を喪失する原因となる いずれも補綴作製に先だって 局所麻酔下に切り離して 延長あるいは移動させておくことが望ましい
2007年03月18日(Sun)▲ページの先頭へ
下顎のバンテージ包帯について
下顎骨骨折観血的整復固定術後 下顎骨矢状分割法術後など下顎骨の外科後に術野の皮膚をバンテージ包帯で圧迫して腫脹や血腫の形成を抑えるが このときに必要以上に圧迫しないよう注意する 包帯使用中は回診時に必ず包帯の引っ張り強度をチェックして 同時に包帯の下部の皮膚の色調や体温を確認し うっ血や末梢の疎血 末梢感覚の喪失などの発現に注意する 出血や浸出液の防止にはペンローズドレーンや持続吸引ドレーンの留置を併用することが確実である 冷罨法で局所を冷却することも腫脹を抑えるとともに疼痛閾値を上げるために痛みが楽になる方法として推奨される
顎関節脱臼時にも開口制限させるためにバンテージ包帯を行うが このときに開口制限をさせるために 引っ張り強度を上げると圧迫によるうっ血を起こして おとがい皮膚の知覚低下を引き起こすことがある 原因はおとがい孔付近の圧迫によるおとがい神経の損傷である おとがい孔付近の圧迫は避けるように包帯を巻くことで避けられる
2006年11月01日(Wed)▲ページの先頭へ
上顎臼歯部の抜歯と上顎洞
上顎臼歯部の抜歯に際しては 上顎洞底との距離を あらかじめパノラマやデンタルなどで確認をしておくことが必要である
特に歯根尖端と上顎洞が交通しているケースでは ヘーベルの力の方向により上顎洞内へ迷入させてしまう危険があるため注意する 残根といえども歯槽骨との癒着がある場合にはあらかじめエアータービンで歯根を分割してフリーにし ヘーベルによる脱臼を行って抜歯する 万が一 迷入させた場合には抜歯した歯槽骨内をバーで削合して穿孔を拡大して上顎洞底との交通を広げる このときの形成する穴の大きさは迷入させた歯根の1.5倍くらいとすると良い それから生理的食塩水などで洗浄して洗い出すと 流れ出てくる その後 感染を起こさないように縫合して閉鎖するか テルプラグなどの填入剤を入れるかし 数日間の鼻かみを禁止しておくと良い
2006年04月30日(Sun)▲ページの先頭へ
口内炎について
口内炎は様々な病態を反映する重要な臨床所見であることもある
悪性腫瘍との鑑別にもっとも注意を払うべきで 歯肉 舌 口唇 口蓋 頬粘膜などの潰瘍には辺縁と健康組織との境界 硬結 可動性 出血の有無 疼痛の有無 症状や大きさ 色調の変化に注意する 深く突っ込んだ問診がもっとも重要である 病原体感染で口内炎を発生するものとして 小児では麻疹や手足口病 溶血性連鎖球菌感染などがある 成人でもヘルペス 疱疹 伝染性単核症 コクサッキー パラミクソ HIVなどウィルスによるもの 梅毒や結核などの細菌によるものがある 感染症の場合には 口内炎用ステロイド軟膏剤(ケナログ アフタゾロン デキサルチンなど)は使用禁忌である またこれらステロイド軟膏は悪性腫瘍に対しても局所の細胞免疫の抑制に作用することを考慮すると使用を控える方が望ましいと考える 粘膜保護作用を目的として局所に軟膏を使用したい場合にはアズレン軟膏が適する アズレンはカモミール由来の消炎作用と粘膜保護作用のある青色の薬物である 以下に記す口内炎については適切な使用と監督の下に口内炎用軟膏を使用し 安易に長期間使用しないよう指導することも必要である またこれらの軟膏の基剤には 口腔粘膜の保護作用があることと 唾液に対して不溶性である性質がある したがって食事摂取中も薬剤が容易に剥がれないため 食事後の使用よりも食前に塗布することで 食事中の疼痛を和らげる効果が期待できる 咬合性外傷や外傷性咬合 不適切な歯科補綴治療 咀嚼習慣 悪習癖によって頻回に口の粘膜が損傷を受ける場合には 原因を除去すれば 速やかに回復する 特に義歯の不適合や矯正装置の粘膜損傷は 担当した歯科医師の技量に不信を招くことにつながるので 速やかに対応することが望まれる ヘビースモーカーや刺激物の嗜好品の摂取 悪習癖で引き起こされたものでは 患者自身への健康生活の重要性に気づきを与える いわば啓蒙として指導を行うとともに 禁煙や適切な嗜好品への転換を促すことも必要である 口内炎の原因として見落としがちなものにアレルギー症状がある 経口摂取した食品や薬物のほか 化粧品や歯磨剤 石鹸に洗剤などが 口呼吸の習慣がある場合にはハウスダストや花粉を吸入することなどによって 口腔粘膜に接触するとアレルギー反応によって潰瘍や水疱を形成し 口内炎にいたるものがある リンパ球の検査やパッチテストで判明するが 主成分の他にも添加物などにも注意が必要である
2006年04月10日(Mon)▲ページの先頭へ
神経麻痺
突然 閉眼できない 顔の表情が変化した 口唇が歪む 口唇や眉毛を動かせないなどの症状が出た場合には顔面神経麻痺の疑いがある 顔面神経は運動神経である
口唇がしびれる 歯肉の感覚がない 歯ごたえがないなどの場合には三叉神経麻痺の疑いがある 三叉神経は感覚神経である いずれも神経そのものや神経周囲の異常を疑い 検査診断と治療開始を迅速に行う 神経症状発現から48時間がゴールデンタイムである それを過ぎると神経麻痺は不可逆的である ビタミンB群 ATP製剤 ステロイド投与の他 温罨法 低周波治療 レーザー照射 高圧酸素療法 星状神経節ブロック 鍼灸療法などが報告されている また画像診断による原因の確定も必須である 脳神経外科 耳鼻咽喉科医との連携の元に悪性疾患の鑑別を急ぐことも忘れてはならない 相談に来院した10歳男児の口唇のゆがみから 顔面神経麻痺を疑い脳神経外科に紹介したところ 悪性上顎洞腫瘍とわかったケースがある
2006年04月09日(Sun)▲ページの先頭へ
上顎洞炎
上顎臼歯部に歯痛があるのにカリエスや歯周炎など歯科疾患の存在が否定される場合 あるいは原因不明の場合には上顎洞の疾患を疑う パノラマレントゲンで上顎洞の状態を確認する CTスキャンの検査を行うと診断は容易である
上顎臼歯部歯根尖と上顎洞底との関係 上顎洞の境界線 鼻腔粘膜の肥厚や腫脹 上顎洞不透過陰影 左右上顎洞の不透過傾向差などに注意する 上顎洞炎は口腔内の症状の他にも頭痛 頬部痛 鼻閉 膿様鼻汁排泄 後鼻漏 流涙眼痛 視力異常 聴力異常 耳鳴 内耳不快感などを伴うことがある 上顎洞炎のうち上顎洞と歯科疾患との関連が明らかである場合には原因歯の抜歯と上顎洞洗浄により治癒させることが可能である 切開について
切開は解剖上の制約に十分注意する 特に血管や神経の走行に注意が必要である
歯肉への原則として歯槽頂に切開線を設定する そうでない場合にはできるだけ歯槽頂より数ミリ程度の範囲で離れないところでとどめなくてはならない 上顎下顎また頬側舌側ともに血管の走行は歯槽頂で最も疎となり それを越えて血液供給している毛細血管はまれである 原則に反して切開すると切開線で血流は絶たれ末梢組織(ここでは歯肉など)の壊死と術後の治癒不良 疼痛の原因となる 下顎の臼後三角での切開に際しては舌神経や顔面静脈枝の走行に 下顎小臼歯の歯肉頬移行部での切開に際してはおとがい孔に 上顎中切歯においては切歯孔に 上顎大臼歯口蓋側歯肉については口蓋孔の位置にそれぞれ注意し それらの脈管神経を損傷しないようにする また 智歯抜歯の際に下顎骨外斜線への切開を入れる際には頬側に深く切り込みすぎると咬筋付着部を損傷して 抜歯後の開口障害が強く現れて治癒に日数を要する 粘膜切開にはメス15番で縫合は丸針 3−0シルクか4−0ナイロンを使用する 皮膚切開ではメス11番で縫合は角針 5−0ナイロン以下の細いモノフィラメントの縫合糸を使用する |
新着エントリ
不整脈の女性患者へのマクロライド系抗生剤投薬について (5/21) 医師の裁量権と患者の自己決定権 (1/18) 初めて歯を削られる患者さんのために (1/18) 小帯の位置異常について (6/4) 超音波スケーリング (6/2) 手指を噛まれないために (6/2) 下顎のバンテージ包帯について (3/18) 気管切開のケアについて (3/4) 上顎臼歯部の抜歯と上顎洞 (11/1) サホライド (8/20)
カレンダ
アーカイブ
アクセスカウンタ
今日:55
昨日:112
累計:73,428
|
|
|